マネーしたくなるお金のハナシ

お金のことはもちろん、ライフプランに合わせた資産運用の方法や保険の選び方などをアドバイスするプロのFP(ファイナンシャルプランナー)。このコンテンツは、さまざまな目標や悩みを抱える北海道の「リアル」なお金ビギナーが、「こんな初歩の初歩から聞いていいの?」と思える質問をぶつけて、FPからやさし〜く答えてもらうやり取りの実録です。

中古の戸建てやマンションを選ぶ注意点は?

【今回の登場人物】
久保田恒央さん
将来設計士®、FP(ファイナンシャルプランナー)、トータルライフコンサルタント。4人のお子さんを持つ超絶やさしいお父さん。お弁当づくりも上手。
ハルコ
札幌市在住の30代前半女子。独身。デザイン会社勤務。お金のハナシや資産運用に興味はあるものの、何から始めれば良いのかわからず、結局何もできない日々。友人の紹介からFP久保田さんと知り合いに。
ショウゴ
札幌市在住の30代前半。ハルコの同級生で、現在は会社員。家庭では子育てに奮闘する良きパパ。賃貸アパートに住んでおり、将来的には戸建て住宅を建てることを検討中。

リフォームやメンテナンスの費用も見据えて。

ハルコの同級生・ショウゴは、マイホームの購入について検討中。FPの久保田さんと引き合わせてもらい、マイホーム購入について相談することになりました。前回は家を購入する際、予算の目安となる考え方を教わったところ。今回は、ハルコの一言から中古の戸建てやマンションを選ぶポイントに話が広がりました。

ハルコ:ショウゴくん、ところで、家を新築するのではなくて、中古を買うというのは考えていないの?新築よりも価格は抑えられる印象なんだけど。

ショウゴ:妻とも「本当は新築が良い」という意見は一致しているんだけど、中古住宅が身の丈に合っているのかなと悩みどころでもあるんだ。久保田さん、新築か中古か迷っている相談者にはどのようにアドバイスしているんですか?

久保田さん:ショウゴさんと同じように新築と中古のどちらが良いか悩む事例は本当に多いんですね。ただ、単に予算や借りられる金額が少ないというネガティブな要素だけで中古の戸建てをすすめることはあまりありません。メリットとデメリットをお伝えした上で、ご家族の考えに添った選択をしてもらっています。

ショウゴ:メリットとデメリット?

久保田さん:中古の戸建ては、先ほどハルコさんがいった通り、価格が抑えられるというのがメリットの一つ。一方で「値段には理由がある」ものです。分かりやすい例でいえば、築年数が古くリフォームもされてない場合、住み始める前に修繕などにまとまったお金がかかるケースも少なくありません。さらに家の劣化に伴い、10年後、20年後、お子さんが大学進学の時期にメンテナンスに思わぬ出費が必要となるといったリスクも考えられます。

ショウゴ:中古の戸建てでも、チェックしなければならないポイントがたくさんあるんですね。ただ、家のメンテナンスでいうと新築もそれなりにかかるイメージがあります。

久保田さん:そうですね。10年おきくらいに外壁の修繕や屋根の塗装といった工事にまとまったお金が出ていくのが一般的です。けれど、最近は20〜30年はメンテナンスフリーの素材を使うハウスメーカもあり、初期のコストは大きくなる分、後々の出費を抑えられます。新築、中古、いずれにしてもご夫婦やご家族で納得のいく着地点を探すのが人生100年時代を上手く乗り切るコツですよ。

中古マンションは「修繕積立金」も要チェック!

ハルコ:ショウゴくんの場合は、子育て環境や生活音の面から戸建てを望んでいると思うけれど、中古のマンションを選ぶ時の注意点ってあるんですか?

ショウゴ:子どもたちが巣立った後、住まいをダウンサイジングしてマンションを選ぶかもしれないですし、僕も知っておきたいです。

久保田さん:マンションの場合は戸建てと異なり、「管理費」と「修繕積立金」を毎月支払わなければなりません。管理費は管理会社への管理委託費用や共用部分の水道光熱費などに使われます。修繕積立金は、12〜15年周期で計画される大規模修繕工事に備えて積み立てられる費用です。中古マンションを選ぶ場合、この修繕積立金が大きなチェックポイント。

ハルコ:単に毎月支払う費用というだけではないんですか?

久保田さん:マンションは鉄筋コンクリート造りの建物が多く、寿命は50年とも100年ともいわれています。とはいえ、外からは見えない配管が傷んだり、ヒビから雨水が入って鉄筋がサビてきたり、インフラの劣化は年を経るごとに静かに進んでいきます。マンション購入者全員で組織される「マンション管理組合」が、こうした修繕を見越して計画を立てていない場合、毎月の修繕積立金が値上げされるケースもあるんです。時には大規模修繕工事の費用が足らず、何十万円というまとまったお金を払わなければならないことも。

ショウゴ:確かに中古マンションを買う側に立ってみると、価格や広さ、駅からのアクセスは気にしますが、大規模修繕の費用が足りなくなるとは思ってもみないですね。

久保田さん:さらに、中古マンションに住む方も高齢化している傾向なので、年金だけでは管理費・修繕積立金がどうしても払えなくなったり、居住者が減ったままだったりすると、そもそも大規模修繕工事ができなくなるかもしれません。このようなリスクがあるマンションを選んでしまうと、結局は資産価値も落ちてしまいます。なので、修繕積立金がキチンと管理されているのかチェックするのも大切なのです。

久保田 恒央氏

記事監修 久保田 恒央氏

将来設計士®、ファイナンシャルプランナー、トータルライフコンサルタント、FP事務所株式会社3way(スリーウェイ)代表
1970年富良野生まれ旭川育ち。15年以上前から札幌市内各ハウスメーカー、マンション販売会社のFP相談担当。現在、FP事務所、株式会社3wayと不動産事業おうちカンパニーを運営し、保険代理店、株式会社ホロスプランニング(生命保険、損害保険33社取扱)と提携。今まで1000件以上のご家庭のライフプラン(教育費、住居費、生活費など)に基づいた家計見直しと生活提案が好評。