マネーしたくなるお金のハナシ

お金のことはもちろん、ライフプランに合わせた資産運用の方法や保険の選び方などをアドバイスするプロのFP(ファイナンシャルプランナー)。このコンテンツは、さまざまな目標や悩みを抱える北海道の「リアル」なお金ビギナーが、「こんな初歩の初歩から聞いていいの?」と思える質問をぶつけて、FPからやさし〜く答えてもらうやり取りの実録です。

住宅ローンを返していくための考え方って?

【今回の登場人物】
久保田恒央さん
将来設計士®、FP(ファイナンシャルプランナー)、トータルライフコンサルタント。4人のお子さんを持つ超絶やさしいお父さん。お弁当づくりも上手。
ハルコ
札幌市在住の30代前半女子。独身。デザイン会社勤務。お金のハナシや資産運用に興味はあるものの、何から始めれば良いのかわからず、結局何もできない日々。友人の紹介からFP久保田さんと知り合いに。
ショウゴ
札幌市在住の30代前半。ハルコの同級生で、現在は会社員。家庭では子育てに奮闘する良きパパ。賃貸アパートに住んでおり、将来的には戸建て住宅を建てることを検討中。

住宅ローンは「薄く長く」。繰り上げ返済を上手に活用!

ハルコの紹介を受け、高校時代の同級生・ショウゴがFPの久保田さんにマイホーム購入にまつわるアレコレを相談!前回までは予算の考え方や中古のチェックポイントなどを教わり、今回はいよいよお金の話に切り込みます。

ショウゴ:今回は少し具体的にお金の話を聞いてみたいです。マイホームを購入するとなると住宅ローンを利用することになりますが、返済していけるか不安で…。仮に金融機関の審査を通ったとしても、カツカツの生活では暮らしに彩りがありませんし、冠婚葬祭をはじめとする急な出費に対応できないのではないかと思っています。「借りられる金額=返せる金額」ではないのかな…と。

久保田さん:今は超低金利の時代で、かつては3〜3.5%の金利だった住宅ローンも1%前後が一般的になっています。とはいえ、先のことを考えすぎると不安がこみ上げてくるものですよね。ちなみに、今、奥様は働いていますか?

ショウゴ:妻は子どもが小さいうちはできる限り一緒にいられる時間を作りたいので、今は専業主婦です。ただ、資格職ということもあり、いざ働くとなるとさほど苦労せずに仕事に復帰できるとは思います。

久保田さん:なるほど、相談者の中にもお子さんが小さいうちは一緒にいたいという方も多いんですよ。ということは、現在のところはショウゴさんの収入=世帯年収というワケですね。何歳までに返済を終えたいと考えていますか?

ショウゴ:う〜ん…やはり定年退職の60歳までには払い終えたいです。

久保田さん:定年退職の60歳、あるいは再雇用されたとしても65歳までには住宅ローンを完済したいというのが世間でも一般的ですよね。ただ、土地や住宅の価格が上がっている今、最初から60歳、65歳までに返済を終えたいと決めてしまうと、月々にやり繰りするお金がキュウキュウになってしまうのが現実です。これまで住宅ローンの返済期間は35年が主流でしたが、最近は40年の商品もよく見かけるようになっています。この「超低金利時代」と「長期的に返済できる」を味方にして、少しでも「薄く長く」という計画を立てることも大切です。

ハルコ:でも…そうすると70歳くらいまで働くことも考えなければならないんだぁ…。

久保田さん:これから先、退職という概念がなくなるかもしれませんしね。ただ、上手く使いたいのが繰り上げ返済。私のおすすめは住宅ローン減税(※)が終わるタイミング、そして子どもが巣立つ時。それまでにコツコツと貯金をしておいて、まとまった金額を繰り上げ返済することで、返済期間が短縮できたり、返済額にもっとゆとりができたりします。60歳、65歳までに無理に完済を目指すのではなく、満足のいく家を手に入れたほうが人生が豊かになると、私はよく相談者にアドバイスしています。

(※)住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度。ただし、適用される要件があります(内容は2023年9月現在のものです)。

金融機関によってはローンをまとめられる商品も!

ショウゴ:先ほどの「子どもが巣立つ時」に関連するのですが、住宅ローンの支払いに合わせて子どもの教育費も考えなければいけませんよね。

久保田さん:以前、ハルコさんからお姉さんの教育資金について相談を受けたので詳しくは割愛しますが、児童手当をすべて貯金しておけば、私立大学文系学部に進学するとしても半分程度は賄えます。お子さんの大学進学までに児童手当とは別に約200万円を貯めると考えると、さほど無理のない範囲ではないでしょうか。

子どもの教育にかかるお金や教育資金の貯め方、教育ローンの活用法については、「教育費って、どれくらいかかるものなの?」「教育資金はどう貯めたら良いの?」の記事をご覧ください。

ハルコ:その節はありがとうございました。ショウゴくんは児童手当をキチンと貯金している?

ショウゴ:ここまで先のことを見越していたわけではないけれど、児童手当には手をつけてないよ(笑)。ただ、200万円くらいは僕らで準備しなくちゃいけないんだね…。

久保田さん:マイホームの購入を考えるのは収入が上がり切っていない時期でもあるので、今後の昇給も見込めますし、お子さんが大きくなった時には奥様がパートや時短勤務で仕事に復帰することも考えられます。ネガティブに考えるよりも、こうしたプラスの要素を引き出すことで、マイホーム購入の選択肢は増えるはずです。

ショウゴ:ポジティブに考えると希望が見えてくる気がします。ただ、もう一つだけ不安要素があり、実はすでにマイカーローンを利用しているので、住宅ローンを組む際に影響するものなのでしょうか?

久保田さん:世帯年収やマイカーローンの残高にもよりますが、審査に影響を及ぼすことがあるかもしれません。金融機関は収入や勤務年数の他、他に借り入れがないか、退職金があるかどうか、手元の貯金はいくらあるかなどを踏まえて住宅ローンの審査を行いますからね。

ショウゴ:なるほど…マイカーローンの残高はさほど多くないのですが、多少は影響を及ぼすということですね。

久保田さん:ただし、金融機関によってはマイカーローンを利用していると金利が優遇されたり、例えば、ろうきんでは住宅ローンにマイカーローンをまとめられる商品もあります。

北海道ろうきんでは、500万円までの他行ローンや家電・家具購入費用について、住宅ローンと同じ返済期間・同じ金利でまとめられる「住きっと!500」をご用意しています。詳しくはこちら

ショウゴ:そんな便利な商品もあるんですね!何だか安心しました。

久保田 恒央氏

記事監修 久保田 恒央氏

将来設計士®、ファイナンシャルプランナー、トータルライフコンサルタント、FP事務所株式会社3way(スリーウェイ)代表
1970年富良野生まれ旭川育ち。15年以上前から札幌市内各ハウスメーカー、マンション販売会社のFP相談担当。現在、FP事務所、株式会社3wayと不動産事業おうちカンパニーを運営し、保険代理店、株式会社ホロスプランニング(生命保険、損害保険33社取扱)と提携。今まで1000件以上のご家庭のライフプラン(教育費、住居費、生活費など)に基づいた家計見直しと生活提案が好評。