マネーしたくなるお金のハナシ
お金のことはもちろん、ライフプランに合わせた資産運用の方法や保険の選び方などをアドバイスするプロのFP(ファイナンシャルプランナー)。このコンテンツは、さまざまな目標や悩みを抱える北海道の「リアル」なお金ビギナーが、「こんな初歩の初歩から聞いていいの?」と思える質問をぶつけて、FPからやさし〜く答えてもらうやり取りの実録です。
遺産って誰にどう相続されるの?
- 【今回の登場人物】
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- 久保田恒央さん
- 将来設計士®、FP(ファイナンシャルプランナー)、トータルライフコンサルタント。4人のお子さんを持つ超絶やさしいお父さん。お弁当づくりも上手。
- ハルコ
- 札幌市在住の30代前半女子。独身。デザイン会社勤務。お金のハナシや資産運用に興味はあるものの、何から始めれば良いのかわからず、結局何もできない日々。友人の紹介からFP久保田さんと知り合いに。
亡くなった方の配偶者は「常に」法定相続人。
前回は、FPの久保田さんから「相続されるもの」について教えてもらったハルコ。わかりやすい説明に納得したのもつかの間、そもそも「相続される人」が誰なのか、どれくらいの割合で相続されるのか気になってきました。
ハルコ:テレビ番組やドラマでは、よく「相続人同士で揉める」というシーンを見かけます。そもそも、相続される人の範囲ってどこまでを指すんですか?
久保田さん:法的な効力を持つ遺言書がある場合、基本的にはその内容が優先されて遺産相続を行うことになります。ただ、今回は「キホンのキ」として、遺言書がない場合の「法定相続人」についてお伝えしますね。
ハルコ:法定相続人というのがあるんですね。法律で決まっている相続人ということですか?
久保田さん:はい、これは民法で定められている「亡くなった人の遺産を相続する人」のことです。法定相続人となるのは、亡くなった方の配偶者と、子や親、祖父母、兄弟などです。
ハルコ:ふむふむ。基本的には血縁関係にある人なんですね。ただ、思った以上に遺産が相続される範囲が広いような…。
久保田さん:もちろん、血縁関係にある人すべてが法定相続人として認められるワケではありません。優先順位によって相続を行うことになります。
ハルコ:なるほど!ルールがあるんですね。
久保田さん:まず、亡くなった方に配偶者(夫・妻)がいる場合、常に法定相続人となります。ただし、いわゆる「内縁の妻」は法律上の婚姻関係ではないため法定相続人としては認められません。
ハルコ:私の家族でいえば、父に万一のことがあった際、母は常に相続される立場ということですね。
久保田さん:その通りです。
相続をする側の「思い」を確認しておくのが重要。
ハルコ:配偶者の次に優先順位が高いのは誰にあたるんですか?
久保田さん:優先順位はこのように決められています。
●第1順位:直系卑属(子・孫など)
●第2順位:直系尊属(父母・祖父母など)
●第3順位:兄弟姉妹
久保田さん:亡くなった方の血族に上位順位がいる場合、下の順位に該当する人は相続人にはなりません。つまり、亡くなった方にお子さんがいる場合、第2順位と第3順位に該当する人は財産を受け取ることはありません。
ハルコ:そうだったんですね!ウチは三姉妹なので、父が亡くなってしまったとすると、母と私たち姉妹が法定相続人になるということですか?
久保田さん:はい、お父様のご両親…つまりハルコさんのお祖父様、お祖母様がご健在だとしても、お母様とハルコさん姉妹が法定相続人になります。
ハルコ:ところで、その割合はどのようになっているのでしょうか?
久保田さん:「法定相続分」というものがあり、亡くなった方に配偶者とお子さんがいる場合、それぞれ1/2ずつ遺産を分割するのが基本です。先ほどのハルコさんの仮定でいえば、お母様が遺産の1/2を受け取り、残りの半分を3人の姉妹で分けることになります。法定相続分の代表的な例は以下です。
ハルコ:こんなふうに法定相続人や法定相続分のルールが決まっていると、あまり揉めないような気がしますが…。
久保田さん:スムーズにいけば良いのですが、現実では揉めることも少なくありません。例えば、「長男の自分が父の介護をよくしていた」「私たち夫婦は両親と同居している」と主張するケースもありますし、逆に亡くなった方が口頭で「長男に家を譲りたい」としきりに伝えていたために事態がややこしくなることもあります。後ほど詳しく説明しますが、「相続をする側」にどんな思いがあるのかを生前に確認しておくことが重要です。
ハルコ:確かにそうですね…心に留めておきます!