マネーしたくなるお金のハナシ

お金のことはもちろん、ライフプランに合わせた資産運用の方法や保険の選び方などをアドバイスするプロのFP(ファイナンシャルプランナー)。このコンテンツは、さまざまな目標や悩みを抱える北海道の「リアル」なお金ビギナーが、「こんな初歩の初歩から聞いていいの?」と思える質問をぶつけて、FPからやさし〜く答えてもらうやり取りの実録です。

相続って、どんな流れで進めるの?

【今回の登場人物】
久保田恒央さん
将来設計士®、FP(ファイナンシャルプランナー)、トータルライフコンサルタント。4人のお子さんを持つ超絶やさしいお父さん。お弁当づくりも上手。
ハルコ
札幌市在住の30代前半女子。独身。デザイン会社勤務。お金のハナシや資産運用に興味はあるものの、何から始めれば良いのかわからず、結局何もできない日々。友人の紹介からFP久保田さんと知り合いに。

相続するかどうかを決めるのは、亡くなってから3カ月以内。

このところ、相続について気になっているハルコ。前回は、FPの久保田さんから「法定相続人」や「法定相続分」について教えてもらいました。相続とは何か、誰にどんな割合で相続されるのかを大まかに把握できたところで、今度は「相続までの流れ」が知りたくなってきたようです。

ハルコ:私の両親は健康ですし、相続が現実のことになるのはまだまだ先だと思いますが、万一の際にはどんな流れで進めていくものなんですか?

久保田さん:身近な方を亡くした経験がなければ、なかなかわからないものですよね。私のほうで大まかな流れを図にしてみました。これに沿って基本的な項目を説明していきます。

久保田さん:まず、死亡診断書を受け取ってから、7日以内に役所に「死亡届」を提出するのがスタートです。

ハルコ:死亡届というものがあるんですね…初めて知りました。

久保田さん:この死亡届は、例えば故人の携帯電話やクレジットカードを解約したり、生命保険の請求をしたり、各種名義変更などに必要とされる場合があるので、あらかじめ多めにコピーをとっておくのがオススメです。

ハルコ:いろいろなケースで必要になるんですね。覚えておきます!

久保田さん:この他にも、国民年金・厚生年金の受給停止や世帯主の変更、国民健康保険・介護保険の資格喪失といった手続きをしなければなりません。ただ、多くの葬儀場では「亡くなった後にすべきこと」のチェック表などを用意してくれるので、上手に活用しましょう。

ハルコ:ふむふむ、便利なものがあるんですね。

久保田さん:そして、亡くなってから3カ月以内には遺産を相続するのか、それとも相続放棄・限定承認するのかを決めなければなりません。そのため、遺言書があるのかどうか、相続人は誰になるのか、遺産はどれくらいあるのか早めに調査しておく必要があります。

ハルコ:以前に教わった相続放棄と限定承認ですね。それにしても亡くなってから3カ月以内に決めるとなると、あっという間に過ぎてしまいそう。

久保田さん:加えて、4カ月以内には準確定申告(亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得税の申告)という手続きも済ませなければなりません。故人が会社員や年金受給者なら不要なケースも多いですが、私の相談者の中にも個人事業主で稼いでいる親御さんの収入を知るのに苦労したという方もいます。

専門家や金融機関に頼るのも有効な手段。

ハルコ:仮に相続すると決めた場合、いつまでに済ませるんですか?

久保田さん:相続税の申告は亡くなってから10カ月以内にしなければならないため、期限はそれまでと考えておきましょう。

ハルコ:上の図の遺産分割や名義変更、解約、財産の分配がやっておかなければならないことですか?

久保田さん:その通りです。遺言書があればスムーズに進むかもしれませんが、それがない場合は「誰が何をどれだけ相続するのか」を決める遺産分割協議を相続人全員で行います。例えば、家の名義を誰にするのか、持っている土地を売って現金化するのかなどを話し合って皆の合意を得なければなりません。

ハルコ:やらなければならないことが多いんですね…。

久保田さん:加えて、戸籍謄本を取得したり、例えば不動産の名義変更をするなら法務局に届け出をしたり、さまざまな書類を集めて提出しなければなりません。取り引きのある金融機関へも亡くなったことの届出をし、相続による各種預金の解約手続きをする必要があります。その際には遺産分割協議の協議書や戸籍謄本、印鑑証明書などが必要となることが多いんです。

ハルコ:悲しい気持ちの中で、これだけ煩雑な手続きがたくさんあると、頭が真っ白になるかもしれません…。

久保田さん:大切な人が亡くなった中、これらをすべて自分たちだけでやるのは大変な心労を伴います。だからこそ、弁護士や司法書士、行政書士など、いわゆる士業の専門家に依頼するのも一つの手です。その他、金融機関でも遺産整理業務を行っていることが多いので、頼りにしてみるのも良いでしょう。難しくなるので今回は詳しくふれませんが、相続税の控除についてアドバイスしてくれたり、相続にまつわるおトクな商品を案内してくれたり、大きな力になってくれるはずです。

北海道ろうきんでは、(株)山田エスクロー信託の業務提携店として遺産整理業務を行っています。相続に伴う種々の問題について信託会社の専門家が、お手伝い・アドバイスします。詳しくはコチラ

ハルコ:なるほど、相続はお金の絡む話なので、金融機関に相談するのもメリットが大きそうですね!

久保田 恒央氏

記事監修 久保田 恒央氏

将来設計士®、ファイナンシャルプランナー、トータルライフコンサルタント、FP事務所株式会社3way(スリーウェイ)代表
1970年富良野生まれ旭川育ち。15年以上前から札幌市内各ハウスメーカー、マンション販売会社のFP相談担当。現在、FP事務所、株式会社3wayと不動産事業おうちカンパニーを運営し、保険代理店、株式会社ホロスプランニング(生命保険、損害保険33社取扱)と提携。今まで1000件以上のご家庭のライフプラン(教育費、住居費、生活費など)に基づいた家計見直しと生活提案が好評。