マネーしたくなるお金のハナシ
お金のことはもちろん、ライフプランに合わせた資産運用の方法や保険の選び方などをアドバイスするプロのFP(ファイナンシャルプランナー)。このコンテンツは、さまざまな目標や悩みを抱える北海道の「リアル」なお金ビギナーが、「こんな初歩の初歩から聞いていいの?」と思える質問をぶつけて、FPからやさし〜く答えてもらうやり取りの実録です。
相続されるのって、どんなもの?
- 【今回の登場人物】
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- 久保田恒央さん
- 将来設計士®、FP(ファイナンシャルプランナー)、トータルライフコンサルタント。4人のお子さんを持つ超絶やさしいお父さん。お弁当づくりも上手。
- ハルコ
- 札幌市在住の30代前半女子。独身。デザイン会社勤務。お金のハナシや資産運用に興味はあるものの、何から始めれば良いのかわからず、結局何もできない日々。友人の紹介からFP久保田さんと知り合いに。
有価証券やゴルフ会員権も相続の対象!
父が定年退職を迎え、家族間でチラホラと「相続」というキーワードが飛び交うようになったというハルコ。とはいえ、これまで学んできた貯金の仕方や投資の考え方とはまったく異なる話題のため、何から覚えていけば良いのかもサッパリわからずにいます。今回は、相続の「キホンのキ」を教えてもらおうと、FPの久保田さんを訪ねることにしました。
ハルコ:こんにちは久保田さん。最近、父や母の間では「そろそろ相続を考えないと」「この家はどうしようか」といった話をするようになりました。まだまだ両親ともに元気なので相続といわれてもピンときませんし、「そもそも相続って…何?」というのが正直なところです。ただ、私も「キホンのキ」くらいは知っておいたほうが良いのかな…と思うようになりました。
久保田さん:確かにハルコさんのご年齢だと、身近な方が亡くなる経験は少ないかもしれませんね。ただ、最近は相続をキチンと考える機運が高まっていることもあり、「キホンのキ」を知ることは大切です。ちなみに、相続される財産ってどんなものだと思いますか?
ハルコ:パッと思いつくのは、お金や家くらいしかありません。他にも対象となるものがあるんですか?
久保田さん:現金や土地、家屋、マンションのほか、例えば、有価証券(株式や国債証券など)や美術品、ゴルフ会員権なども相続される財産の一部です。見落としがちですが、かつては購入しなければならなかった電話加入権もその一つ。他にもさまざまなものが対象となります。
遺された財産は相続放棄も可能。
ハルコ:相続されるものって意外と幅広いんですね!両親には借金がないと聞いているのですが、こうした「あまり欲しくないもの」も相続の対象に含まれるんですか?
久保田さん:確かに借金や各種ローン、未払の家賃も相続の対象となります。ただ、住宅ローンに関しては、以前に説明した団信(住宅ローンの金利や団信について教えて!)に加入している方が大半なので、多くの場合は団信から支払われるでしょう。
ハルコ:仮に住宅ローン以外に大きな借金を背負っていたら、遺された家族が代わりに払わなければならないんでしょうか?
久保田さん:必ずしも相続しなければいけないワケではありません。ハルコさんは相続放棄という言葉を聞いたことがありますか?
ハルコ:テレビ番組やドラマでは何度か耳にしたことがあります。
久保田さん:これは現金や土地、家屋などのプラスになる財産も、借金やローンなども含めて一切の遺産を相続しないという方法です。
ハルコ:ふむふむ、なるほど!借金があまりに多かったりする場合には相続放棄も考えないといけないんですね。
久保田さん:はい、借金が明らかにプラスになる財産を上回っているケースは相続放棄を視野に入れましょう。他にも、相続によって得たプラスの財産を限度として、マイナスの財産も引き継ぐ限定承認という手法もあります。例えば、遺された家や現金の価値が1,000万円、ただし借金の額がいくらか判明するのに時間を要するとします。そんな時は限定承認を利用することで、借金が2,000万円でもプラスの財産の1,000万円が上限となるため、相続した人が借金を代わりに支払わずに済むのです。
ハルコ:ということは、プラスになる財産も、ローンや借金がいくらあるのかも、事前に知っておくことが大切なんですね。
久保田さん:まさにその通り!ハルコさん、目の付け所が素晴らしいですね。